千円札が不足しています

千円札が不足しています。ご協力をお願いします。

ってよくコンビニとかに掲示してあるじゃないですか。
アスペ予備軍の私には、あの「ご協力をお願いします」が何に対しての協力を促しているのか分からんのです。
そもそも文章自体もかなり飛躍しています。「不足している」状態を伝えたのみで、要望を伝えずに「お願いします」です。こんな理不尽な作者の気持ちを考える問題は東大国語にも出てきません。
一番短絡的に考えると、「(不足した状態をこれからも維持できるように)ご協力お願いします」という意味に取れます。
これを読んでおかしいと思った人は、既に「不足している=悪い状態である」という先入観にとらわれています。
敢えて物が不足した状態に自らを置くことで、日常の幸せを知ることができるかもしれません。吾れ唯足るを知る。
まあそういってもお店にとっての「不足=悪」という先入観は間違いではないでしょう。以降この考え方が正しいものとして話を進めます。
さて、お店が悪い状況にあることを伝えたことと、「ご協力お願いします」という構文とはどのようにつながるのでしょう。
注目すべきはこの文章がレジ前に「掲示」されていることです。つまりこの文の内容は客に伝える必要がある、ということです。
ということは、「​(千円札が不足していることを周りの客にも伝えて、悲しんでいただけるよう)ご協力お願いします​」という意味のお願いであるという可能性もありますね。
このポップを見たら後ろに並ぶ客に伝言ゲームのように「このお店千円札不足してるらしいですよ…」と伝えていけば、みんなで気持ちを分かち合うことができます。報・連・相は世界を変える。
しかしそんなことを伝えた所で特にお店の得になることはありません。フランスでテロが発生した時にfacebookのアイコンの色を変えて何かした気分になるのと一緒です。

さらに一段階仮定を行いましょう。「千円札が不足している→悪い状態→改善したい」まで想像を広げます。

この状態を改善するためには、お店の千円札の量が増えれば良いわけです。つまりこうなります。
​(財布の中の千円札を全て寄付してくれるよう)​ご協力お願いします」。
これなら文章の流れとしておかしくないですし、問題も解決します。正解に最も近いといっても過言ではないでしょう。
しかしそんなジプシーみたいな乞食行為がまかり通るのでしょうか。むかし新宿の某居酒屋でクソみたいな席代とお通し代でボラれた経験はありますが、普通のフランチャイズコンビニでそんなことしようものならまあ速攻でBANされるでしょう。
仮定を広げます。
「千円札不足→悪い→改善したい→増やせないので、せめてこれ以上数は減らしたくない」としてみましょう。
千円札が減るというのはつまりお釣りでお客に渡るということです。
​(高額紙幣での支払いはご遠慮いただくよう)​ご協力お願いします」。ようやくそれっぽいのが出てきました。
あのだいたい手書きで貼ってあるポップにはこれだけ長い理論が行間に含まれているわけです。
我々は常日頃からかくも無駄なことに思考を巡らせています。店が銀行にいって千円札を用意すれば良いだけなのに。


はっきり物事を伝えず、あえて遠回しな表現をするのは日本の尊敬語の特徴でもあります。(「奥方」など)
言外の思考を読み取るのは日本で生きていく上で必要最低技術のようです。馬鹿馬鹿しいものですね。

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